ども。三代目Gtまなです。
20数年ぶりにワイマンズに復帰し、ワイマン氏と製作したアルバム「ザット イズ ロック&ロール」久々に聴いてみた。

完成直後は演奏からミックスまで全篇に関わってしまっ為、正直かなり食傷気味で…。
でも、今あらためて聴いてみると、好きなサウンド詰め込んだだけあって楽しめないわけがない。

より本作を楽しんでいただければと思い、技術屋/演奏屋目線でライナー書いてみます。
まだ、聞いてない方がいらっしゃれば、”身銭を切って”是非聴いていただきたいです。
先ずは前半4曲

【1】Whole Wide World/レックレス・エリック
原曲は、スティッフレーベル…※のアーティストだけあっていたってシンプルな演奏。
音に関してはわりと原曲に忠実なカバーですが、アレンジ面ではテンポがガラリと変わるという大きな仕掛けを加えてます。
この曲含め以降全てのカバー曲のテンポは、原曲より1割以上増という"ルースターズの法則"によりテンポは上がっています。

※スティッフレーベル
イギリスの70年代インディシーンを支えたレーベルの老舗。
ニック・ロウ、イアン・デューリー、マッドネス、ダムド、エルヴィス・コステロ等を輩出している。

【2】I got find my baby/チャック・ベリー
サウンド的には、チャック・ベリーの再現ではなく、チャックをカバーするローリングストーンズ初期のイメージ。
ベース、ギターを弾くときに出来上がりのイメージを固めないまま素で弾いてしまいました。
素で弾いただけあって、歳相応の演奏に仕上がり、妙にまとまってて若さが無い。
今思えば、もっと青臭い感じを意識して弾いたほうがブリティッシュビートっぽくて良かったのかも。

【3】Lip stick trace/ベニー・スペルマン
これも、60年代ブリティッシュビートバンドがアメリカのR&Bをカバーしたサウンドをイメージ。
当初、ギターソロはバッキングと同じトラックでわざとNGテイクっぽいギターソロを弾き、
その上から正しく弾いたソロを重ねるというレトロ感を出す小細工…※をしようと思っていたが、小細工だと気付いてもらえない可能性が高く、ただ下手なだけだと思われるのは心外なのでやめた。

※レトロ感を出す小細工
60年代の録音環境では、マイクを向けている楽器以外の音も音洩れして録音される。
結果として、間違った音を録音しなおしても、うっすら録音しなおす前の音も残ってしまう。
『Can't Buy Me Love/ビートルズ』のジョージのギターソロなど。

【4】天涯孤独
サウンドはピストルズ、演奏はラモーンズが狙い。
5/4拍子2小節のイントロは、ラモーンズの『Rockaway Beach』の間奏から拝借してます。
「こんなに辛い~♪」から、ピストルズの『Pretty vacant』のイントロ風ギター・アルペジオを入れてみました。
そういや、『Pretty vacant』のイントロはABBA(!)からヒントを得たとグレン・マトロックがTV番組のインタビューで語ってた。
マトロックはピストルズでは、後任のシドの影に隠れて地味な元メンバーという存在ですが、
当時、他のバンドからの評価は高くピストルズ脱退後、クラッシュやジャムから加入への打診があったそうな。